95~99年モデルのC1500、K1500、サバーバン、タホ、エスカレード、デナリなど後期内装の暗電流の調査です。
ブレイザーなど前期内装の場合でも、基本的な考え方は一緒です^^

「バッテリーがすぐに上がる」と、お客様よりご相談があり、勉強のため現車をチェックさせていただきました。
良い機会でしたので記録として残しておこうと思います♪

必要工具:
テスター(電流測定が可能なもの)
検電ペン
ビニールテープ
内張り剥がし
その他、一般的なドライバーやソケットレンチなど

所要時間:240分

 

======
はじめに、バッテリー上がりの原因は大きく分けて2つあります。
1、充電がされていない。
2、暗電流が多い。

充電がされない場合はオルタネーターの不調やそれに関係する配線の不具合が考えられます。

さてみなさん、暗電流ってご存知ですか?
車の電装品には、バッテリーからの常時電源が接続されていてキーがOFFの状態でも電気が流れています。
後付けの電装品であれば、代表的なのはナビの時計やキーレスの待機電源などです。
その消費電力による電流のことを「暗電流」といいます。
家電製品の「待機電力」みたいなものですね。

この暗電流、一般的には20mA~50mAくらいが正常値と言われています。
セキュリティなどが装着されていて、通常より高い場合でも70~80mA程度までが許容範囲ではないでしょうか。
暗電流が高いとバッテリーを放電するスピードが速くなりますので、すぐにバッテリーが上がってしまうということになるのです。

それでは、実際にチェックした項目を順に追っていきたいと思います^^

~プロローグ~

ことの始まりはバッテリーをお買い上げいただいた事です。
普段乗られていないとのことで、久しぶりに乗ろうと思ったらエンジンかからず。
装着されているバッテリーは4~5年ほど使用されたそうなので、なんの疑いもなくバッテリーを交換していただきました。

その数週間後、新品のバッテリーが上がってしまったとご連絡。
普段乗られていないので充電が不十分では?とのことで充電をして様子を見ていただくことになりました。

しかし、その数週間後にはまたまたバッテリーがあがってしまいました。

今回は勉強のために実際にお車をチェックさせていただきました。
原因が分かると「なんだ、そんなことか~」という単純なことでしたが、先入観と思い込みにより遠回りしてしまいました^^;
今回チェックさせていただいた一連の流れを公開いたしますので、同じような症状に悩まされている方の参考になれば幸いです♪

~チェック内容~

まずは、現状のチェックです。

バッテリー電圧はすでにすっからかんで、ジャンパーしてもすぐにはエンジンがかかりませんでした。
しばらく充電後エンジン始動が可能になったため、オルタの発電電圧をチェックしました。

測定方法はエンジンをかけている時のバッテリー端子間(+と-)の電圧を測定します。
充電電圧は13~15Vくらいであれば大丈夫です。
充電電圧が基準値より低い場合は、オルタネーターのチェックが必要です。

結果はバッテリー端子間で14.3Vと充電はしっかりできているようです。
原因1の可能性は低くなりました。

続いて暗電流を測定します。
測定には電流(A)測定が可能なテスターが必要です。
また、電流測定はテスター側のプローブの指す位置を変更する必要があるものがほとんどです。
お持ちのテスターがどういったタイプかチェックしてみましょう。

測定方法はバッテリーのマイナス端子を外し、配線側にテスターのプラスプローブ、バッテリー側にマイナスプローブを直列にあてて電流を測定します。
測定レンジは高いレンジから始めます。
今回使用したテスターの場合、10A、200mA、20mA、2000μAの4つのレンジがあり、一番大きい10Aのレンジに合わせて測定しました。

暗電流の値は0.19~0.2A(190~200mA)という結果でした。
結構高めの値ですので、バッテリーあがりの原因は暗電流の仕業のようです。
試しに当店のサバーバンでもチェックしたところ、0.03A(30mA)という値でした。
200mAはかなり高いようですね^^;

では、暗電流が多くなってしまう原因ですが、これの追及にはかなり手間がかかります。
ただし、チェック方法はいたってシンプルです(笑)
常時電源が繋がっている電装品を一つずつ外しその都度暗電流を測定していきます。

やはり後付けの電装品が一番怪しいので、怪しいところからスタートします☆

===後付けの電装品===
今回のお車にもナビ、ETC、アンプx2基、バイパー、キーレス、HID、イルミテープやレーダーなど、沢山の電装品が装着されていました。
足元を覗くとごちゃごちゃの配線が。。。

一番最初にこれらを疑ってしまいますね^^;
結果、遠回りとなるわけですが、あくまでチェックをした順番にご紹介します♪

とはいえ、基本はバッテリーの近くからチェックするのがセオリーです。
バッ直電源としてはオルタとメインヒューズBOXへの補助ケーブルと、室内のアンプx2基への配線が接続されていました。
オルタとメインヒューズへの配線が増設してある辺りが怪しさ満点です♪
それぞれの配線を外してチェックします。

・オルタ、リレーBOX 0.19A
・アンプ2基 0.19A

どちらも変化なしでした。
続いて、一番怪しいバイパーとキーレス、ついでにETC。

・キーレス ヒューズ 0.19A
・バイパー メインハーネス 0.17A
・ETC 電源ハーネス 0.2A

キーレスとETCは問題なし。
バイパーは少し下がりましたが、まだまだ他の原因の方が高そうです。
この段階で複合的な要因もあるかもしれないという危機感に直面しました^^;

他に目についたのはIGハーネスから分岐させてる2本の配線。

・赤線 分岐 0.17A
・黄線 分岐 0.2A

赤線はおそらくバイパーの電源のようです。
黄線は問題なしでした。

===室内ヒューズBOX(その1)===
続いて、室内のヒューズBOXに「分岐配線」されている場所をチェック。
ヒューズからの電源分岐はとてもオススメできませんが、なんと3か所も。
これを見て後付け品を疑う気持ちが一層増していくことに(笑)
常時電源として怪しい他のヒューズも調べてみました。

一つずつ、ヒューズを抜いて暗電流をチェックします。

まずは後付けをぶら下げそうな常時電源ヒューズ。
・13番 CIG LTR 20A(シガーライター) 0.2A
・19番 RADIO BATT 10A(オーディオ常時電源) 0.2A

次に分岐配線が目視で確認できるヒューズ。
・23番 RR WIPER 25A(リアワイパー) 0.2A
・14番 ILLUM 10A(イルミ) 0.21A
・6番 CRUISE 10A(クルコン) 0.21A

そして、定格と異なるヒューズが付いていた場所。
・17番 RADIO 10A(オーディオ) 0.2A ※定格と異なる25Aヒューズが付いていました。

ここまで問題無し。
後付け品が怪しいという先入観から、結論を急ぐあまり基本的なことを飛ばしています。
基本中の基本は「バッテリーに近いところからチェック」です。
一度気持ちをリセットして、メインヒューズのチェックに入ることにしました。

===メインヒューズBOX===
さあ、気を取り直して。
ここからはローラー作戦です。

・ECMB 20A 0.21A
・RR DEFOG 30A 0.21A
・IGN-E 10A 0.2A
・HORN 20A 0.2A
・ECM-I 20A 0.2A
・A/C 10A 0.2A
・ING-I 20A 0.2A
・LIGHTING 50A 0.03A!

反応がありました~!
最初にメインヒューズ見ておけば。。。^^;

というわけで、LIGHTINGヒューズの下に問題があることが分かりました。
ここからが本番です(笑)

===HIDヘッドライト===
LIGHTINGヒューズにぶら下がる電装品ということで、真っ先にヘッドライトが考えられます。
後付けHIDが装着されていたため、HIDの配線をチェックしました。
両サイドともヘッドライトを外して確認しましたが、リレーなどの追加もなく常時電源を使っていないことが分かったため次へ進みます。

===ヘッドライトスイッチ===
続いてヘッドライトスイッチです。
スイッチ裏を見てみると、またまた分岐配線が!
こうなったら、一本ずつチェックするしかないですね^^;

・ヘッドライトスイッチコネクターを外す 0.2A
・白線 分岐 0.2A
・茶線 分岐 0.2A
・紫線 分岐(緑) 0.19A
・紫線 分岐(白) 0.19A

ヘッドライトスイッチ周辺はOKそうです。

===室内ヒューズBOX(その2)===
だいぶ頭の中も整理できてきました。
もしかして後付けの電装品が原因じゃないかも??

またまた基本に戻って、純正の電装品をチェックすることにします。
室内ヒューズの中でLIGHTINGにぶら下がっているヒューズを探します。

まず、常時電源が来ているヒューズを調べました。
以下の番号に常時電源が来ていました。

・1、2、3、7、9、13、15、19

次にLIGHTINGヒューズを抜くと電気が来なくなるヒューズを調べます。
以下の番号のヒューズに電気が来なくなりました。

・3、9、15

この結果から、3、9、15番のヒューズがLIGHTINGにぶら下がっているヒューズと分かりました。
一つずつ抜いて、暗電流をチェックします。

・3番 CTSY 20A(カーテシー、室内灯) 0.05A!
・9番 PARK 20A(パークランプ、車幅灯) 0.2A
・15番 DRL FOG 20A(デイタイムライト、フォグ) 0.21A

見つかりました~!
3番のCTSYヒューズがビンゴです。

===室内灯のチェック===
CTSYヒューズにぶら下がる電装品を調べて行きます。
ヘインズの配線図を参考にしました。

・足元ランプ 助手席側 0.2A
・足元ランプ 運転席側 0.2A
・グローブBOXランプ 0.2A
・ルームランプ フロント側 0.2A
・ルームランプ リア側 0.2A
・パニティミラーランプ 運転席側 0.05A!
・パニティミラーランプ 助手席側 0.2A

やっとたどり着きました☆

原因は運転席側パニティミラーランプの不具合でした。
本来は開閉スイッチのON/OFFによって蓋を閉じると消灯する仕組みですが、蓋を閉じた状態でも常にONになっていたようです。
バイザー内部がベコベコになっており、手でモミモミすると点いたり消えたり(笑)

ここにたどり着くまで少し時間がかかりましたが、調査中に常にONになっていてくれたのが救いでした。
もし、入ったり切れたりされていたら、見つからなかったかもしれません^^;

とりあえず一件落着です♪

 

 

 

暗電流の調査、いかがでしたか?

 

今回特に感じたのは、不調が出てから測定しても正常なのか異常なのか判断が難しいということでした。
それと、先入観を捨てて基本に忠実な方が早く結果にたどり着いていたと思います。

 

バッテリーが上がりやすい方はもちろん、そうでない方も一度愛車の「暗電流」測ってみてください^^
平常時の記録があると、何かあったときに助かると思います☆

 

 

GMトラック C/K専門店 C/K Parts Shop
シーケーパーツショップは「相談できる部品屋」です。

お客様の立場に立って親身にお答えします。
まずはお気軽にご連絡ください。

080-9587-9583
ck.parts.shop@gmail.com

パーツをお探しの方はこちら
http://store.shopping.yahoo.co.jp/ck-parts/